任意売却という方法

住宅ローンの返済が何らかの理由で難しくなった場合、ローン残以下でも家を売る事ができます。それを任意売却といいます。但し、金融機関等のすべての債権者の同意のもと売却するという条件があります。競売で安く売られてしまうよりも、高めに売却し、少しでも残債を減らすという方法です。流れは以下の通りです。

任意売却の流れ

任意売却できる
期間にご注意ください

  • 滞納開始
  • 期限の利益の損失ローンを毎月返済するという契約がなくなり、一括で返済しなくてはならないという事
  • 代位弁済保証会社が代わりに支払う事
  • 競売申立
  • 競売開始決定
  • 入札閲覧開始
  • 期間入札開始
  • 期間入札終了
  • 改札・落札決定

任意売却開始

ここまで(入札開始前日)

入札開始前日までに任意売却できなければ、
競売という流れになります。
任意売却に目立ったデメリットはありませんが、
競売にはデメリットがあります。

任意売却を決断しても
決して簡単に売れるわけではありません。

出来るだけ早い段階で
「任意売却する!」という決断をして頂いた方が
売れる確率は高くなります。

よくある質問

競売と任意売却の違いは何?

任意売却による所有者のメリット
  1. 市場価格に近い価格で売却でき、競売での売却基準価格を下回る可能性は極めて低いので債務(借金)残高をできるだけ多く減らす事ができます
  2. 売却代金の中から引っ越し等にかかる費用の一部を控除することができる可能性があるので、費用の自己負担を抑制できる可能性もあります。
  3. 一般的な不動産売却と同じ売却方法なので、経済状況を近隣に知られずに済みます。
  4. 契約時期や引っ越し時期などについて、相談することができます。
  5. 売却後、残った債務残高の返済方法について相談する事ができます。
競売による所有者のデメリット
  1. 市場価格に近い価格で売却できる保証はなく、一部人気地域以外は市場価格を下回る可能性があります。
  2. 落札者から引っ越しにかかる費用を負担してもらえない可能性があり、その場合は引っ越し費用を自分自身で用意しなければなりません。
  3. 競売申立費用(約60万~)や遅延損害金(年利15%前後)が債務残高に加算されてしまいます。
  4. 裁判所で公告されてしまうので、近隣に自宅が競売にかけられていることが知れ渡ってしまう可能性が高いです。
  5. 売却日は裁判所が強制的に決めてしまいます。引っ越し時期は落札決定から約1ヶ月以内が一般的でそれまでに引っ越せない場合は強制執行になってしまう可能性があります。

任意売却のデメリットというのは特になく、任意売却で売れなければ競売にそのまま移るというだけのながれです。かといって簡単に任意売却できるわけでは無く、全ての債権者の了承を得る必要がありますので、手遅れになる前にご相談頂ければと思います。

任意売却後、残った借金は?

通常、任意売却とは、住宅ローン等の借金を払えずに借り入れより安い金額で売却する事ですので売却後に借金が残ります。

その場合返済方法は2種類あります。

1つは私的整理と呼ばれる方法で債権者と返済額について話し合い、その額を毎月コツコツと払い続けて完済をめざします。

もう一つは法的整理と呼ばれる方法で、任意売却後に自己破産をして借金全てを免責してもらい再出発することです。固定資産税等の租税債務は免責されません

どちらの選択肢が最適かはその時と場合によります。

目安として残債務が少なく7年以内で完済できる場合(毎月の返済額は1万~5万円が一般的です)は返済を続けることが最善策となります。

その理由は自己破産は7年で事故歴が抹消でき、新たなローンが組めるようになるからです。返済を続ける場合は完済するまで事故歴が抹消されないため借金が完済されるまでに新たなローンが組めない状態が続くからです。

自己破産をするとどうなるの?

自己破産をすると以下の物は借金の返済に充てられます。

  • 預貯金99万円以上の現金
  • 自分名義でかけている保険金の返戻金が20万円以上のもの
  • 退職金の見込み160万以上はその8分の1
  • 車は20万以上のもの
  • その他20万円以上と見込める貴金属、PCなどの物資

以上のものを失う代わりに全ての債務が免除され(固定資産税等の租税債務は免除されません)、破産宣告以降の収入や新たに得た財産を債務の弁済に充てること無く生活を送っていけます。

自己破産すると官報に公告され世間に破産したことが知られてしまう可能性はあります。

また自己破産をすると日本に3社ある信用情報機関に個人情報が登録され、(これをブラックリストと呼ぶ人もいます)7年間は新たにローンを組むことができません。

最後に、連帯保証人は債務を免れることができません